政府が閣議決定した平成23年度税制改正は、法人実効税率5%引き下げなどの減税項目はあるものの、相続税の基控除縮小など、個人に多くの税負担を強いるものとなっています。
主な改正項目を3つご案内します。
1.給与所得控除が年収1,500万円で頭打ちに
サラリーマンの給与収入から定額を必要経費とみなして課税計算から差引く給与所得控除は、年収1,500万円で
頭打ちとされることになりました。
この改正により、サラリーマン全体の1%(約50万人)が負担増となります。この改正は「高所得者に多くの負担を」
という税体系を明確に示したものと言えます。
2.成年扶養控除の縮小
ニートなどを含む23歳〜69歳の扶養親族を抱える人の「成年扶養控除」は、年収568万円超の場合廃止又は
縮小されることになりました。
この改正により、高所得層で負担増を実感する人が増加し、消費を下押しすることが懸念されます。
3.相続税の基礎控除を減額
相続税の基礎控除が40%削減されます。
現状では、5,000万円の定額控除額に法定相続人1人当たり1,000万円を加えた金額を相続税の課税価格から 控除できますが、改正 では基礎控除額が3,000万円、1人当たりの金額が600万円に引き下げられます。
たとえば、夫が死亡し妻と子供2人が法定相続人の場合、これまでは8,000万円までは相続税がかかりませんで
したが、改正後は4,800万円までとなります。
これまでにも、個人年金保険を利用した節税の封じ込めや、小規模宅地等の評価方法の改正などを通じて相続税 の増税がされてきましたが、この度の改正により、相続税の増税の方向性がいっそう明確なものになっています。
2010.12.27
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