債権者の立場からすると、得意先に請求をしても、いつ代金が振り込まれるかわからないという不安な気持ちが
付きまとうものです。売掛金は帳簿で管理しているだけですから、実際に代金が振り込まれるというは確実な保証
はありません。
決済方法を、振込から「でんさい」に変更すると、「でんさい」には手形と同じように支払不能処分制度があります
から、債権の回収がより確実なものになります。
また、振込の場合ですと、実際に代金が振り込まれるまで売掛債権を眠らせていることが多いと思われます。
「でんさい」を利用することで、支払期日前でも簡単に「でんさい」を譲渡したり割引したりできますから、「でんさい」は
資金繰りを円滑に行うためにも有利な手段になるでしょう。
3.取立料や割引料は?
「でんさいネット」は、銀行のほか信用金庫や信用組合なども参加する、全国規模のネットワークですが、取立料や
割引料は各金融機関ごとに個別に設定されます。
「でんさいネット」は、電子政府の構築という、いわば「国是」に沿ったものである以上、早期の普及のためには、取立
料や割引料を少なくとも現行の水準より引き下げることが望まれます。
4.でんさいネットの今後の展望
「でんさいネット」は、当初は平成24年5月に開業する予定でしたが、現在のところ各金融機関の足並みは必ずしも
そろっておらず、開業は予定より遅れています。
しかし、「でんさいネット」は、全国124の銀行と273の信用金庫、116の信用組合が参加を表明しており、「でんさ
いネット」の導入により売掛金180兆円が流動化するとも言われる一大プロジェクトでもあります。
かつて、「使い物にならない」と言われていた国税庁の電子申告システム(e−Tax)の利用件数は、その後の改良
により、現在では法人税の全申告件数のうち80%以上を占めるに至っています。
同じように、「でんさい」も多少の曲折はあるものの、今後急速に普及することが予想されます。取引先(納入先)が
大手企業である場合、支払い手段を「でんさい」に限る、というような取引条件を提示してくることも考えられ、今後の
動向に注意が必要です。