昨年12月22日、平成22年度税制改正大綱が閣議決定され、改正の概要が明らかになりました。改正の内容は多岐にわたりますが、主な改正の内容は次のとおりです。
1.法人に関する税制改正
@ グループ内取引に係る税制 (平成22年10月1日から適用)
イ 100%グループ内の法人間で一定の資産の移転を行ったことにより生ずる譲渡損益を、その資産のそのグループ外ヘ の移転等の時に、その移転を行った法人において計上することになりました。
ロ 100%グループ内の法人間の寄付金について、支出法人において全額損金不算入とするとともに受取法人において 全額益金不算入とします。
A 特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度の廃止 (平成22年4月1日以後に終了する事 業年度から廃止)
この制度は廃止されます。ただし、、所得税と法人税の「二重控除」を解消するための抜本的措置を平成23年度税制改正で講じる、とされています。
2.所得税関係
@ 諸控除の見直し (平成23年分の所得税から適用)
イ 年少扶養親族(16歳未満の扶養親族)に係る扶養控除を廃止します。
ロ 特定扶養親族(16歳以上23歳未満)のうち、16歳以上19歳未満の者に係る扶養控除の上乗せ部分(25万円) を廃止し、扶養控除の額を38万円とします。
A 非課税口座内の少額上場株式等に係る配当・譲渡所得等の非課税(平成24年分から)
上場株式の配当・譲渡益等に対する軽減税率(10%)が平成23年末まで維持されるとともに、平成24年から実 施される20%本則税率化にあわせて、「非課税口座」内の少額上場有価証券等に係る配当及び譲渡所得等の非 課税措置を導入します。
「非課税口座」とは、平成24年から平成26年までの各年において設定された特定の口座(1人につき1年1口座に 限ります。)いい、この口座には、取得対価の額の合計額が100万円を超えない範囲の上場株式等を受入れることが できます。
3.資産税関係
@ 住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税限度額の引き上げ
イ 直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合において、非課税限度額(現行500万円) を次のように引き上げ ます。
(イ)平成22年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 1,500万円
(ロ)平成23年中に住宅取得資金の贈与を受けた者 1,000万円
ロ 適用対象となる者は、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下の者に限定されます。
ハ 適用期限を平成23年12月31日(現行平成22年12月3日)までとします。
A 小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の見直し
イ 相続人等が相続税の申告期限まで事業又は居住を継続しない宅地等(現行200uまで50%評価) を適用対象 から除外します
ロ 一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等の内うちに特定居住用宅地等の要件に該当する部分とそれ以外の部 分がある場合には、部分ごとに按分して軽減割合を計算することになりました。
B 定期金に関する権利の相続税及び贈与税の評価の見直し。
給付事由が発生している定期金に関する権利の評価額は、次に掲げる金額のうちいずれか多い金額とします。
(イ) 解約返戻金相当額
(ロ) 定期金に代えて一時金の給付を受けることができる場合は、当該一時金相当額
(ハ) 予定利率等を基に算出した金額
平成22年度税制改正大綱
2010.3.25
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