金の価格が歴史的な高値を付けている中で、金を売却して現金に換える取引が増えています。
金の売却収入は、これまではあまり税務署に把握されていませんでしたが、平成24年分の取引から、金の売却に関する情報は自動的に税務署に通知されることになります。
個人が金を売った場合の利益は譲渡所得として課税されます。同じ譲渡所得でも、土地や建物を売った場合の譲渡所得とは異なり、金を売った場合の譲渡所得は単独で課税されるのではなく、給与など他の所得と合算して計算されます(総合課税)。仮に金を売って赤字になれば、その赤字を他の所得から差引くことができます。
ところで、金を売った場合の所得はこれまではあまり税務署に把握されていませんでした。三菱マテリアルなどの金の売買を行う業者には顧客の本人確認が税法上義務付けられていませんでしたから、架空名義による金の購入や売却があとを絶たず、平成22年に三菱マテリアルに対して行われた東京国税局の税務調査では、過去5年間に架空名義で金の売買をした顧客は数百名に上ったと言われています。
このような背景から、平成23年度の税制改正で、平成24年1月以降金を売った人は、金を買い取った業者に自分の氏名や住所を告知しなければならないことになりました。
他方、金を買い取った業者は、告知された顧客の氏名や住所を運転免許証などの公的書類で確認することが義務付けられました。
さらに、金を買い取った業者は、いつ・誰に・何を・どれだけ・いくらで売ったかを記載したの明細を記載した
「支払調書」を、毎月税務署に提出しなければならないことになります。これにより、税務署は、金の買取り業者から金の取引に関する納税者情報を自動的に取ることができます。
これらの告知や支払調書は、金の売却額が200万円を超える場合にのみ適用されることとされていますから、1回の取引が200万円以下の場合は適用されません。
しかし、架空名義を使い、故意に200万円以下に小分けして金を売るような例も多く、このような取引は脱税やマネーロンダリングの温床になる可能性があるため、金の買取り業者は、200万円以下であっても本人確認を行っているのが現状のようです。
所有期間が5年を超える場合
金の売却価額−(金を買った価額+売却費用)=金の譲渡益
(金の譲渡益+金取引以外の総合課税の譲渡益)−50万円=譲渡所得の金額
譲渡所得の金額×1/2=課税される譲渡所得の金額
所有期間が5年以下の場合
金の売却価額−(金を買った価額+売却費用)=金の譲渡益
(金の譲渡益+金取引以外の総合課税の譲渡益)−50万円=課税される譲渡所得の金額
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