退職金は、通常会社を退職した場合に支給するものですが、役員の職務や地位に変更(「分掌変更」といいます。)があった場合、実際に退職していなくても会社が役員に退職金を支給することがあります。
退職金をもらった役員は通常の確定申告を行いますが、退職金を支給した会社側はどのような経理をすればよいのでしょうか。
税務上、役員の退職金は過大な額でない限り損金算入できますが、分掌変更により役員に退職金を支給した場合でも、実質的に退職したと同じ事情にあると認められる場合には、これを損金算入できます。
損金算入の時期については、株主総会の決議があった日、又は実際に退職金を支給した日、とされています。
問題は、分掌変更前による退職金を税務上損金とするためには、実態としてその役員の地位や職務内容が分掌変更前と比較して「激変」していなければなりません。 この点、税務調査でも事実認定の問題としてよく取り上げられます。
形式的には、代表取締役が監査役になったり、分掌変更後の給与が50%以下になったなどの具体的な事実が必要ですがこれらの事実が整っていても、即損金算入が認められる訳ではありません。
分掌変更後の役員が、依然として、従前の職務を兼務しているなどの場合は、せっかく支給した退職金が損金に算入されない場合もありますから注意が必要です。
2010.4.23
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