所得拡大促進税制の適用を受けたいが、「平均給与等支給額」の計算が複雑で困っている。簡単に計算できる給与ソフトはないか。
「平均給与等支給額」を即時に計算できる給与ソフトはない。EXCEL等で計算する以外に方法はない。 |
1.「平均給与等支給額」の計算の煩雑さ
平成25年度の税制改正で創設された所得拡大促進税制は、平成26年度改正を経て現在に至るが、改正の前後を問わず「平均給与等支給額」の計算の煩雑さが実務上の問題になっている。この煩雑さ故に制度の適用を怠り、税務上の損失を被る例も少なくない。「平均給与等支給額」とは、簡単に言えば「従業員一人当たりの月平均給与額」のことであるが、平成26年度の改正で、平均給与等支給額の計算に「継続雇用者」という要素が持ち込まれたため、その計算方法は一層煩雑なものとなった。
2.実務上の問題点
平均給与等支給額を計算するためには、次の3要素を、当期と前期各々につき把握することが必要になる。
@ 継続雇用者に該当する者 (誰が継続雇用者に該当するか) |
A 継続雇用者に支給した給与の額 (その事業年度に継続雇用者にいくら給与を支給したか) |
B 給与を支給した継続雇用者の各月の人数の合計数 (給与を支給した継続雇用者の延べ人数) |
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*継続雇用者とは、当事業年度及び前事業年度において給与の支給を受けた雇用者、即ち、当期または前期の
いずれかではなく、両事業年度にまたがって給与の支給を受けた雇用者をいう。 |
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上記3要素のうち、@は比較的簡単に把握できる。当事業年度において給与の支給実績がある雇用者のうち、前事業年度においても支給実績がある者を給与台帳からピックアップすればよい。
面倒なのはAとBである。給与台帳は通常暦年で作成されるが、AとBは会社の事業年度を基準として集計しなくてはならないからである。
給与ソフトによっては、複数の事業年度にまたがって集計期間を指定して、従業員ごとの給与支給額を集計(例えば、前期4月から当期3月まで)できるもがあるが、この場合はAとBの集計は比較的簡単である。
しかし、年末調整ソフトで給与台帳を作成しているようなケースでは、暦年のみの給与の集計しかできないことが多い。このような場合は、年末調整ソフトで作成した給与台帳をEXCELに落とし込むなどして、下記の要領でデータを編集し、半ば手計算でAとBを計算せざるを得ない。
3月決算法人の場合
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当事業年度 |
前事業年度 |
継続雇用者 |
給与支給額(月数) |
給与支給額(月数) |
4月〜12月 |
月数 |
1月〜3月 |
月数 |
4月〜12月 |
月数 |
1月〜3月 |
月数 |
田中一郎 |
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佐藤洋子 |
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鈴木二郎 |
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合計 |
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上記の記述は、2015年8月17日現在の法令・通達等に基づいています。その後の税制改正や個別事情等により、異なる課税関係が生じる場合がありますのでご注意ください。
2015.8.17 |