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 当社は、婦人服の販売を行っています。当初強気の販売計画を立てて多額の夏物商品を仕入れました。ところが売れ行きが悪く、夏物の商品が大量に売れ残ってしまいました。そこで売れ残った商品の評価額を下げて、評価損を計上したいと思いますが、税務上認められるのでしょうか。
                                                        2012.10.22
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A

 婦人服など季節や流行によって売上が左右される商品は、一旦販売の時期を逃すと商品価値が著しく下がってしまうことがあります。
 商品などの棚卸資産については、法人税法上取得原価(仕入れの価額)で評価することが原則とされていますが、この原則だけで棚卸資産を評価しますと、ご質問のように商品価値が下落して今後価額の回復が見込めない季節商品などについて、実質的な損失が全く考慮されないことになってしまいます。
 そこで、法人税法では、棚卸資産が災害などにより著しく損傷した場合はちろんのこと、このような物理的な損傷がなくても、流行の推移など経済的な環境が変わったことによって、棚卸資産の価値が著しく減少した場合についても評価損を計上することを認めています。婦人服や、流行に敏感な携帯電話などの通信機器について、このようなケースに該当する例が多いと思われます。
 また、これ以外に、棚ざらしや型崩れなどにより通常の方法では販売できなくなった棚卸資産にも、評価損を計上することが認められています。文房具のように、箱単位でまとめて仕入れた商品を1個ずつ販売するために、売れ残った在庫が長期間棚ざらしになり、結果として変色してしまったような場合がこれに当たります。
評価損が認められる場合

  災害により著しく損傷したこと。
  季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の

 実績その他の事情に照らして明らかであること。
  同じ用途の商品で、型式、性能、品質等が著しく異なる新製品が発売されたことにより、その商品

 につき、今後通常の方法により販売することができないようになったこと。
  破損、型崩れ、棚ざらし、品質変化等により、通常の方法により販売することができないようにな

 ったこと。

 ところで、「棚卸資産の価値が著しく減少した場合」の「著しい減少」とは、どの程度の減少を言うのでしょうか。これについて具体的な数値を定めた通達等はありませんが、棚卸資産の期末の時価が、帳簿価額の概ね50%以下になった場合には「著しい変動」と考えて良いでしょう。

 棚卸資産の評価損は、金額の算定に主観が入りやすいので、税務調査でよく問題にされるところです。主観が入りやすいということは、逆に言うと税務署も会社が計上した評価損を否認しにくい面がありますが、税務署と不要なトラブルを起こさないためには次のような対策が考えられます。
  @ 問題の商品が一部でも販売されていれば、その売値に基づいて客観的な時価を算定する。 
  A 新商品が発売された場合は、旧商品の価格表を店頭に表示しておく。
  B 問題の商品を正常な商品と区別して、倉庫などに保管する。
  C 棚卸表に、問題の商品を他の商品と区別して表示する。
 もっとも、棚卸資産の評価損は、期末時点で商品が在庫として残っている場合に問題となりますから、たとえ安値であっても、期中に全て売却してしまえば、このような税務上の問題が生じないことは言うもでもありません。

                      
 

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