1.なぜ、締め後の売上高を計上しなければならないのでしょうか?
法人税などを計算する上で、いつまでに納品した分を当期の売上とするかは大事な問題です。事務的には得意先に対する請求の「締め日」までの納品分を売上とするのが一番わかりやすくて簡単です。
ところが、税務や会計の原則では、「出荷」した段階で売上を計上することになっています。つまり、会社の締め日がいつであろうと、出荷した事実があれば売上を計上しなければならないのです。
そうしますと、ご質問の3月16日から3月31日までに出荷した分についても、3月中に出荷した以上、当期の売上に含めなければならないことになります。
決算月以外の通常の月については、締め日後の売上高(16日から月末までの売上高)を計上しなくても、その売上高は翌月の締め日の売上高に含まれますから、年間通しての売上高に影響はありません。ところが決算月だけは、翌月は次の事業年度になってしまいますから、どうしてもここで締め後の売上高を計算して追加計上しなければならないのです。
しかし、請求書の発行事務はそれなりに時間がかかりますので、たとえば月末までに代金の支払いを受けるためには、どうしても月末の10日くらい前までには請求金額を締め切る必要があります。
このような会社の実情を考慮して、
継続して請求の締め日を期末の10日程度前に設定している場合は、締め後の売上高を計上しなくても良いことになっています。
2.税金を追徴されないために良い方法はないでしょうか?
税務調査で、よく締め後の売上高が計上されていないことを指摘されることがあります。指摘された場合、
納品書などから出荷日が特定されてしまいますから、一般には反論が難しいようです。
しかし、締め後の売上高の計上漏れの多くは事務的なミスによるものですから、故意でない限り重加算税が課されることはありません。
また、修正申告をして追加分の税金を納付した場合でも、結局次の事業年度の税金がその分だけ少なくなりますから、単に「期ずれ」の問題に過ぎません。税務調査で締め後売上高の計上漏れを指摘されても、税務調査のセレモニー程度に受け止めておけば良いでしょう。
しかし、締め後の売上高の計上漏れが金額的に大きい場合は、修正申告による追加分の税金を納付することで資金繰りに影響が出ることがあります。
このような場合は、修正申告の結論を出す前に支出の方に目を向けてみると良いでしょう。例えば仕入の締め日も毎月15日であれば、売上の場合と同じように仕入高についても3月16日から3月31日までの入荷分について追加計上することができます。そうすればその分だけ会社の所得が減ることになります。 また、販売費などの中にも期末に未払いになっているものがあれば、細かく拾ってみるのも有効な方法です。