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 会社設立の登記をする前に発起人に対して支払った報酬は、法人税を計算する上で損金として処理して良いのでしょうか。会社の定款には、発起人報酬についての記載はありません。
                                                        2013.6.30
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A

1.発起人とは?
 発起人(ほっきにん)とは、簡単に言えば会社を作ろうと言い出した人、つまり「言いだしっぺ」のことです。法的には会社の定款に発起人として記載された人が発起人ということになります。発起人は会社の「商号」や「目的」などを決めて定款を作ります。発起人は最低1株分の出資をしなければなりませんが、必ずしも自分が取締役や代表取締役になる必要はありません。
 しかし、中小法人では、発起人が過半数の株式を引き受け、自ら代表取締役になることが多いようです。

2.発起人に対する報酬の税務上の扱い方は?
 結論から言えば、会社設立前に発起人に支払った報酬は、法人税を計算する上で損金の額に算入することができます。定款に発起人報酬について記載がない場合でも損金の額に算入して問題はありません
 たしかに、会社法では発起人報酬を含む設立費用について定款に記載することを求めていますが、これは発起人がお手盛りで過大な報酬をとるなどして株主の利益が害されることを防止するためと考えられます。
 したがって、税務上も発起人報酬が法人設立のために必要な範囲のものであり、金額も過大でないのであれば、定款に発起人報酬について記載がなくても会社が負担する費用として処理することが認められています。

3.具体的な経理の仕方は?
 発起人報酬は、会社設立のために要した費用ですから、「創立費」という名称で貸借対照表の資産の部に「繰延資産」として表示されます。
 繰延資産というのは、「資産」という名称ですが、その支出の効果が将来にわたって現れる「費用」のことです。費用なのに資産というのは変ですが、性格としては前払費用と同じもので、前払費用が貸借対照表の資産の部に表示されるのと同じと考えればわかり易いでしょう。
 このように、創立費は繰延資産として貸借対照表に資産として表示されますが、資産とは言っても名ばかりで、実態は費用に他なりません。
 そこで税法では、創立費をいつ、いくら償却(費用に振替えて損金にすること)するかは会社の意思に任されています。会社の意思に任されていますから、会社が解散するまで資産の部に表示したままでも良いし、逆に設立第1期目で全額損金に振替えることもできます。
 このように、発起人報酬などの創立費は、会社の経理にとってはとても便利でつぶしがきく費用と言って良いでしょう。
   

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