1.貸付金があると、銀行に「又貸し」を疑われる
会社が誰かにお金を貸しているということは、融資をする側の銀行から見ると、自分が貸したお金の一部が他の人に貸し付けられている、言い方を替えれば「又貸し」が行われているということになります。
事業資金を融資しようとしても、せっかく融資したお金がめぐりめぐって本来の融資目的以外の目的に使われたのでは、銀行は安心して返済を受けることができません。したがって、銀行は貸借対照表にこのような貸付金勘定がある会社には融資をしたがらないのです。
2.では、社長に対する貸付金はどうなのか
貸付金が他人に対するものであれ、社長に対するものであれ、考え方は同じです。
社長に対して貸付金がある場合は、社長個人の生活費や子供の学費などが貸付金勘定に含まれていることもないとは言えません。これらは、実質的には社長の「給与」ですが、給与として経理をすると会社が赤字になるために、とりあえず「貸付金」として処理することがあります。このような場合は、一般に貸付金の額に端数がつくことが多いようです。銀行から融資を受ける際、貸付金の存在自体が不利な要素になりますが、おまけに貸付金に端数が付いていたのでは、銀行に与える印象は極めて悪いものになると言わざるを得ません。
3.融資を受けるための対策は?
まず、期末の貸借対照表から貸付金勘定を消すことです。消すと言っても、単に仮払金勘定などに振替えるだけでは消したことにはなりません。
よく行われる方法は、社長がとりあえず誰かからお金を借りて、決算期までに全額を会社に返済するやり方です。高利のノンバンクからお金を借りて返済することも行われます。事の是非は別として、期末の貸借対照表からは貸付金勘定が消えますが、当然のことながら根本的な解決にはなりません。やはり、経費節減や営業戦略の見直しにより、会社の事業計画を洗い直して利益を生む体質を作り上げることが、遠回りのようですが最も確実な方法です。