1.リースとは?
リースとは、車両などの資産を比較的長期の期間(例えば5年)にわたって賃貸借する行為です。
リースには、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースとがあります。日本ではリースのほとんどがファイナンス・リースですので、ここではファイナンス・リースについて、ユーザーにとってのメリットとデメリットを見ていきましょう。
ファイナンス・リースは、ユーザーが車両などを取得するに当って、金融機関から融資を受けて資産を購入するのではなく、リース会社からその「物」自体の貸付を受けるものです。この意味で、ファイナンス・リースは「金融」に対して「物融」とも言われます。
2.メリットとデメリット
リースにするか買取りにするかは、現実には資金的な理由で決めることが多いようですが、もう少し掘り下げてリース取引のメリットとデメリットを見てみましょう。
メリット |
@ 購入の場合のように一時の支出がなく、資金繰りが楽になります。
A 銀行融資を受ける必要がないため、銀行借入の枠を温存できます。
B リース料に税金等の諸経費が含まれているため、面倒な諸経費の支払をする手数が省けます。
C 物品の廃棄はリース会社が行うため、廃棄処分が容易です。
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デメリット |
@ 原則として中途解約ができません。中途解約するとリース料の残額の支払が必要です。
A 銀行借入をして購入する場合の利子より、リース料の方が割高になります。
B 物品の所有権はリース会社にありますから、物品を売却して資金を捻出することができません。
C 原則として、貸借対照表に資産として計上して減価償却をしますから事務処理が煩雑になります。
(オペレーティング・リースについては、資産計上せずにリース料を費用として処理します。)
D 資産として計上したリース資産について、圧縮記帳、特別償却などは適用できません。 |
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3.ファイナンス・リースとオペレーティング・リース
日本では、リース取引のほとんどがファイナンス・リースですが、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースの違いについて簡単にご説明しましょう。
@ ファイナンス・リース
イ ユーザーが取得したい物品を、リース会社が代わりに購入してユーザーに貸付ける契約形態です。
ロ ユーザーは、物品の価格のほかに税金、保険料、などを含むリース料を、リース会社に支払います。
ハ ユーザーは、原則としてリース期間中に契約を解約できません。解約すると違約金が発生します。
ニ リース会社は、物件について瑕疵担保責任を負いません。 |
A オペレーティング・リース
イ 上記のファイナンス・リースの、ロとハの要件を含まないリース形態がオペレーティング・リースです。
ロ リース期間満了時の残価(残存価額)をリース会社が見積もり、物件の価格から残価を差引いた金
額がリース料になります。したがって、一般にファイナンス・リースよりリース料が安く済みます。
ハ 一定の解約禁止期間を過ぎれば、解約可能です。 |
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このように、オペレーティング・リースは、リース終了後に第三者に売却したりリースすることが前提となっているため、物品に汎用性があり、一定の残価が見込める中古市場があることなどが基本になります。
わかり易く言えば、ファイナンス・リースが、「物融」とはいうものの金融的な性格を有するのに対して、オペレーティング・リースは、レンタルに近いリース形態と言うことができるでしょう。 |
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