役員に支給する賞与も、「事前確定届出給与」の条件を満たせば損金の額に算入されます。
Q.役員賞与が本当に損金になるのですか?
A.損金になります。平成18年度の税制改正前は、役員賞与といえば無条件に損金の額に算入されませんでした。
しかし、会社法制などが大きく変わったために、平成18年度の税制改正で一定の条件を満たせば役員賞与であっても
損金の額に算入されることになりました。
Q.役員賞与を損金とするための「一定の条件」とはどのようなものですか?
A.まず、株主総会などで役員を選任してその賞与(「事前確定届出給与」と言います)の額を決めます。そして決議をし
た日から1月以内に必要事項を記載した「事前確定届出給与に関する届出書」を税務署に提出します。手続きはこれ
でOKです。ただし、その決議が事業年度開始の日から4月経過後に行われた場合は、その4月を経過した日が提出
期限になります。
Q.「事前確定届出給与に関する届出書」に記載する内容は?
A.届出書には会社の商号・所在地などにほか、@株主総会などで決議をした日はいつか Aいつ、いくらの賞与(事前
確定届出給与)を支給する予定か、など所定の事項を記載します。
Q.役員賞与が損金になるのは喜ばしいことですが、実務上の問題はないのですか。
A.ひとつ大きな問題があります。原則として株主総会の決議が行われた日から1月以内に「事前確定届出給与に関す
る届出書」を提出する訳ですが、その届出書には、いついくらの賞与(事前確定届出給与)を支給するかを予め記載し
ておかなければなりません。
例えば、3月決算の会社が5月20日に株主総会を開いて決議をした場合、6月20日までに将来支給する賞与(事前
確定届出給与)を記載した届出書を税務署に提出する必要があります。
つまり、決算日が近くなって「当期は利益が出たから役員に賞与を支給しよう」というような利益調整はできないことに
なります。
Q.それなら、実際の支給額よりも多少多めの賞与(事前確定届出給与)を届け出ておいて、その届出額の範囲
内で実際の支給をすれば良いのではないでしょうか?
A.合理的な発想だと思います。しかし、残念ながらこのような「枠取り」的な届出については認められていません。実際
の支給額が届け出た金額と異なる場合には、その支給額全額が損金不算入となりますから要注意です。
また、同じ考え方から、夏季と冬季の賞与(事前確定届出給与)をそれぞれ届け出ておきながら、どちらか一方のみ
を支給した場合は、支給した方の賞与(事前確定届出給与)が損金に算入されないことになります。
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