法人税法では、法人は、事業年度終了の日の翌日から2か月以内に、法人税の確定申告書を税務署に提出しなければならないこととされています。したがって、3月決算法人の場合は、5月31日が法人税の確定申告書の提出期限になります。
ところが、多くの会社は、定款で定時株主総会を「事業年度末日の翌日から3か月以内に召集する」と定めています。このような場合、例えば、3月決算の会社が、6月25日に定時株主総会を開催したとしますと、定時株主総会で決算報告書が承認される前に法人税の申告書の提出期限(5月31日)が到来してしまうことになります。
法人税の申告書は、株主総会で承認された決算報告書に基づいて作成しなければなりません。6月25日に承認される決算報告書に基づいて、5月31日までに法人税の確定申告書を提出することは不可能です。
この矛盾を調整するために、、法人税法では、法人税の確定申告書の提出期限を1か月間延長することができる制度を設けています。この制度の適用を受けるためには、申告期限の延長の特例の申請書を税務署に提出する必要があります。この申請書を提出しておけば、3月決算の会社は6月30日までに確定申告書を提出すれば良いことになります。
申請書の提出期限は、最初に適用を受けようとする事業年度終了の日までです。また、一度申請書を提出すれば、翌事業年度以後も続けて延長の特例の適用を受けることができます。
尚、地方税にも同様の制度がありますから、税務署ばかりでなく、都税事務所や県税事務所にも延長の申請書を提出しておく必要があります。この場合、まず税務署に申請書を提出して、税務署の収受印(スタンプ)が押された「控」のコピーを都税事務所などに提出する申請書に添付することになります。
確定申告書の提出期限を延長する場合に注意しなければならないことは、延長した期間について利子税
がかかることです。合法的に確定申告書の提出期限を延長したのに利子税がかかるのは変ですが、利子税は延滞税とは異なりペナルティーではありません。
したがって、利子税は、納付した事業年度の所得の計算上損金の額に算入することができます。
また、利子税がかからないようにするために、「見込納付」という制度を利用することもできます。見込納付は、原則の申告期限(5月31日)までに、概算の法人税をとりあえず納付しておく方法です。多少多めの税額を見込納付しておけば、確定申告書を提出した後に差額が還付されます。こうしておけば利子税がかかることはありません。
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