会社設立後の最初の事業年度は業績の予測が立てにくいため、新設会社からいくらの役員報酬(以下「役員給与」と言います)を取れば良いのか、決められない場合が多く見られます。
最初から多額の役員給与を設定すると、源泉所得税や社会保険料の負担が大きくなってしまします。逆に役員給与が少なすぎると、会社の利益が出すぎて法人税などが多くかかることになります。
税務上、損金の額に算入される役員給与は、「定期同額給与」と言って、原則として毎月同額を支給する場
合の給与に限られます。
したがって、役員給与を事業年度の途中で上げ下げすると、役員給与は損金の額に算入されないことにな
りますが、新会社設立後の初年度から定額の役員給与を設定することは事実上無理があると言わざるを得ません。
しかし、税法では、新会社設立初年度の場合でも、第2事業年度以降に役員給与の額を改定するときと同
じ扱いをしています。つまり、定期同額給与と認められるためには、設立から3ケ月以内に株主総会で役員給与の額を決議しなければならないこととされているのです。
たとえば、4月1日に設立された会社の場合は、6月中に役員給与の額を決議して、6月または7月から決
議された役員給与を支給すれば、役員給与は定期同額給与とされ、損金の額に算入されることになります。
給与にかかる源泉所得税が納期の特例の適用を受けている場合には、特例の納期限(毎年1月20日及び7月10日)まで役員給与の額の決定を先延ばししておき、決定した後、遡求して役員給与を未払計上するなどの方法がとられることもありますが、好ましい方法ではありません。
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